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特集記事 まっぱだかで1週間…90年後の君へ伝えたいこと。

リーダーがビジョンを語る5709viewsshares2011.07.15

まっぱだかで1週間…90年後の君へ伝えたいこと。

障害者・一般雇用あわせて40名の雇用創出を目指し、畑・野菜加工工場・蕎麦屋・パン屋などを並行して立ち上げていこうとしている、東北Rokuプロジェクトリーダーの島田昌幸さん。被災者が働く場所をセルフビルドでつくろうと計画している島田さんは、3月11日以前に考え方を戻す気はないと言う。このプロジェクトはただの復興や雇用創出ではなく、未来につたえたいことがあった。【東北Rokuプロジェクト・島田昌幸(2)】

―最近も、炊き出しは行っているんですか。

島田:していますよ。最近だと「うどんがおいしくない」とか言われます。炊き出しの3日目・4日目は、みんなに泣きながらおがまれてたんですけど。1週間たつと 「次これ食べたいな」とか言い出すから、人間はすごいです(笑)。でも、僕たちは「もういらない」って言われることがすごくいいと思っているんです。豊かになってるってことだから。

―確かに、「いらない」は復興への一歩ですよね。

島田: いろんな復興ファンドや復興企画がありますけど、被災者不在のものがいっぱいあるんです。いろんなところで復興応援イベントやってますけど、本当に被災者 のためになっているのかなって思うこともあって、今回の復興プロジェクトは考え方も稼いだお金の使い道もきっちりやっていきたい。コンセプトをきっちり作ろうとしていて、ようやく昨日できあがったんです。

―Rokuプロジェクトは、どんなコンセプトなんですか。

島田:「90年後の君へ」ってテーマです。僕たちが、次の90年後に対してどう責任を負う社会をつくれるのかって。実はRokuプロジェクトでやっ ていきたいのは次に震災が来たときの防災のためのものです。環境・福祉・防災をテーマとしたもので、ほかにもゼロエネルギーだったり、障害者の雇用についても考えています。具体的には、そばと石釜のピザのお店になります。震災が起きても、自ら薪で焚き火を熾し て、水を沸かして、粉と水と塩があれば、僕たちは生きられるんですよ。

―それは本当に大切ですね。

島田:僕も今回驚いたのは、救援のために山奥に個別訪問に行ったら、暗い中にろうそく立てて40人くらいがいて。お米をみんな で食べて生き延びてたんですね。で、「おれたちは大丈夫だから他に行って助けてやってくれって。」と。みんなで薪をふーふーして。「すげー!」と思いまし た。そうやって、1週間やりすごせば、国や自衛隊も本格的に動き出す。1週間を過ごす力ってとっても大事だなと感じました。

―すごいなあ。本当の生命力ですね。

島田:今の豊かさは、戦後の人たちが未来の私たちのために技術革新して、生活を豊かにしてくれたと思うんです。ただ、原発にしろ、車にし ろ、いろんなことに対して僕たちは先人たちに依存しすぎた。いつのまにか、生きる力は、どこかで失われてた。電気がなくても昔は生きられてたのに、「も う電気がないと携帯も何も使えなくて死んじゃう!」みたいな。

今の豊かさは本当の豊かさなのか。

島田:復興の手法論じゃなくて、もっと先のことを伝えたいんです。ハードってより、生き方とかライフスタイルとか幸せの定義とかが結構大きいかな。 資本主義で、お金がたくさんある社会が本当にいいのかなって。障害者・高齢者・こどもが分け隔てなく週末ゆっくり過ごせる社会も一つあるのかなって思って いて。普通よりも20%くらい給与は低い、でもなんとなく豊か。そういう社会観を僕たちはつくりたかった。考え方そのものを、3月11日以降に戻す気 はないんです。

すごく共感します。

島田:小さいかもしれないけど共感してくれる人がいて、他の地域でもやってみたいって人もいる。明日沖縄県から視察がくるんですよ。

―今回の震災で、生きることや豊かさについて問いなおす人が増えましたね。

島田:「真っ裸になって山ん中で1週間すごす」というような生きる力を養いたいんですよね。食べさせてもらうんじゃなくて、人に頼らず自分で食べ られるように。火を起こしたり、水を手に入れたり、自分でちゃんと必要な物をつくったり。スイスなどでは、本当に何があってもいいように教育してるんです よ。

―自分も養いたいです。

島田:この施設ができたら、企業からサバイバル教育の研修も受け入れようと思ってるんですよ。1週間とかでね。プロパンボンベと業務用のコ ンロをくっつけるとか、そばうち講座などをやりたいなって。小学生の子供たちに修学旅行で体験しに来てもらって、東北の文化とからめて「生き る」授業をやったり、そういうことも少し考えてます。

―面白いですね。

島田:昔で言うボーイスカウトとかね。平常時に準備しておくってことが大切だと思うんです。

―他には何か考えてますか?

島田:ボランティアの受け入れを夏にやろうと思っているんです。1日からでも参加できて、何か植えたりスコップで土を掘ったり。中学生や高校生も「僕も人の ためにやりたいです!」って、ボランティアに参加したいという子供もいるので、そういう子たちも活躍できるように。

-みんなでつくっていく。

島田:そうですね。建物も基礎や耐震の部分を除いて着工の部分から、セルフビルドにしていきたいと思っています。石釜やベジタブルガーデンを市民の人と一緒につくると か、被災者の仕事にもなるし。与えられた場じゃなくて、被災者自ら働く場をつくっていこうと。そして、共感したボランティアがそれを応援 するっていう方が、自然だと思っていて。

-なるほど。右腕には、どんな人にきてほしいですか。

島田:まずは、私たちの想いに共感ができる人ですね。また、基本的に人をまきこむ仕事なので、人の話をまとめたり、とことん興味関心をもって、それを資料化したり。

様々な人とのやり取りがあるので、合意形成が図れることも大事です。

事業進行状況を見渡して、こっちがちょっと遅いなあとか全体が見渡せるプロデューサー能力がある人がいいなと思います。自己完結できる人。自ら考え て、自ら到達できる人。お店作りも本格化していくので、広報などのデザインスキルを持っている人も求めています。そんな人と一緒につくっていきたいですね。

聞き手:中村健太(みちのく仕事編集長)/文:田村真菜(みちのく仕事編集部)

■インタビュー前編:「働いてないと狂っちゃいそう」という言葉の重み。【東北Rokuプロジェクト・島田昌幸(1)】

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