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特集記事 引き継ぐことを見据えた支援と「ひとづくり」

リーダーがビジョンを語る3209viewsshares2012.08.08

引き継ぐことを見据えた支援と「ひとづくり」

お母さんたちのNPOと、ボランティアで来た外部の人が一緒に作った、石巻復興支援ネットワーク(通称:やっぺす石巻)。ボランティア出身で事務局長を務める渡部慶太さんに、復興支援に関わるようになった経緯をまじえながら、団体の活動と復興支援のあり方についてお話しいただきました。【石巻復興支援ネットワーク(やっぺす石巻)・渡部慶太(1)】

―まずは、石巻復興支援ネットワーク(通称:やっぺす石巻)の活動を教えてください。

よりよい石巻の復興に向けて主体的に活動する市民の育成とサポートを行うことをミッションに掲げています。一言でいうと、「ひとづくり」です。はじめは「まちづくり」を活動の軸にしようと思っていたのですが、そのためには人が変わらないといけないと強く感じ、今は「ひとづくり」を軸にしています。震災前から子供の教育を支援していたお母さん方、それに加えて、つなプロ※1のメンバーが一緒にはじめたのが石巻復興ネットワークです。今は有給スタッフ10人程度のNPOです。

—具体的にはどのようなことをしているのですか。

一つ目は、子ども・若者のリーダー育成です。中学生・高校生向けには、教育委員会、ジュニアリーダーサークル、他のNPOと連携して子供新聞の製作サポートや子ども向けのワークショップ等をしています。

大学生以上向けには、ボランティアコーディネートをしています。今年からは、内閣府の地域社会雇用創造事業を受託し、社会起業家育成・支援も開始しました。一件につき最大250万円が活動支援金として支払われます。また、育児中のお母さん方をメインターゲットとしたパソコンや経理等の事務スキルを学ぶ託児付スクールとNPOでの実地研修をインターンシップ事業で行います。

二つ目に、まちづくりです。市民の声を行政に伝える、まちづくりを一緒に考えるワークショップ等を行っています。特に、なかなか声が反映されづらい女性・子供・障害者・外国人の方々が暮らしやすい街にしてきたいと思い、生活のサポートも行っています。

三つ目が、地域全体のコミュニティ形成です。開成・南境地区という被災地で最大級の仮設住宅がある地域、お茶会・市民農園・プレーパーク(後述)などを開催しています。この活動を通じ、主体的に活動する担い手を育んでいます。これらに加えて、外部から来る支援のコーディネートや、他の機関につなげるマッチング等の中間支援業務もしています。

※1 つなプロは、「被災者をNPOとつないで支える合同プロジェクト」の略称。震災直後より、宮城県で被災者の「スペシャルニーズ」の調査活動を展開した。

―渡部さんはもともと何をやっていたのですか。

東京で、商社に勤めていました。業務が単なる金儲けにしか感じることしかできず、何とかしたいとCSRを強化する提案を社内コンペに2年続けて提出したのですが、通らず、限界を感じ3年半で退職しました。その後、ソーシャルビジネスを現場で学びたいと思い、かものはしプロジェクト※2 のカンボジア事務所で半年学びながらお手伝いさせていただきました。

契約期間が終わり、引き続き勤務するか悩んでいた中で、震災が起こりました。3月15日に戻ってから2週間で被災地入りしました。当時、かものはしプロジェクトがつなプロの幹事団体の一つだった関係で声がかかり、行きたいと申し出ました。

※2 かものはしプロジェクトは、子供の人身売買の防止に取り組んでいるNPO。カンボジアを中心に活動を展開している。

―その後は、ずっとこちらで活動されているんですよね。

こちらに来たときは、3週間の予定だったんです。ところが、現場の事務局を仕切ってくれと頼まれて残ることになり、1週間だけ残るはずが、ずるずると延びて、今もこちらで活動を継続しています。

―やることはたくさんありそうですね。

いただいた支援のご相談は、地元のネットワークを活かし、他へマッチング、もしくはコーディネートするという形で、できる限り対応しようと考えていました。地元の団体として責任を持って、一つでも多くの支援をしたいと思うので。来た球は全て打つつもりでやってきました。そうなると、仕事が仕事を呼ぶようにして増えていきます。支援をしたいという打合せは、忙しいときは一日3~4件ありました。今も1日数件はあります。

―今は少しは落ち着きましたか?

打合せ数は減りましたが、実になる仕事は増えていますね。企業さんの案件や、行政の受託事業が増えています。
仕事はしやすくなりました。時間ができた分、自分たちが必要だと思うことをできるようになってきました。気を付けなければいけないのは、周囲の期待に合わせ、やっぺすの名前が独り歩きし、事業が拡大し、スタッフのお母さんひとりひとりの負担が大きくなってしまっていることです。

―仕事の幅が広がっているのですね。

そうですね。だからこそ、それぞれの出口を定めないとしんどくなると思います。以前の職場が復活したにも関わらず活動のお手伝いをしてくださるお母さんがいます。負担の無い持続的な関わり方を見つけていかなければいけません。各々の出口、「石巻復興支援ネットワーク」としての団体自体の出口をどうするかもしっかり考えなければいけません。
私が評価されているとしたら、自分でやらないということです。サボっているっていうわけではないですよ。(笑) 基本的にお母さん方にやってもらおうとするところがポイントだと思います。今日はどう進めるかといった段取りや全部、お母さん方に決めてもらう。裏方に徹する。いかに地元の方に引き継いでもらうかを考えていると、自分でやるところが最小限になっていきます。

―どうやったら引き継げるか考える。それは楽なようでいて、「自分が動いている」ことを実感できない辛さがあるかもしれませんね。

(次回に続く)

やっぺす石巻:http://yappesu.jimdo.com/

聞き手:笠原名々子・加納実久・藤田展彰(ボランティアライター)/文:藤田展彰(ボランティアライター)

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