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特集記事 雇用のミスマッチを解決し、三陸沿岸部のなりわい再生へ

私にとっての右腕体験2981viewsshares2012.06.19

雇用のミスマッチを解決し、三陸沿岸部のなりわい再生へ

前職は人材系企業で、キャリアコンサルティング、グローバル事業や新規事業開発の仕事をしていた津野尾尚子さん。現在は、釜石で人材を募集している地元企業と求職者を繋ぐ雇用マッチングプロジェクトの右腕として活動している彼女に、右腕になったきっかけなどを伺いました。【岩手県釜石エリア・雇用マッチング支援プロジェクト・津野尾尚子】

-なぜ、右腕になったのですか。

地震後ずっと、自分にできる東北の仕事を探していたけれど、なかなかピンとくるものに出会えなかった。そんな中で、びびっときたのが、みちのく仕事に掲載されていたNPO法人@リアス・鹿野さんの記事でした。「あぁ、これなら自分が何か力になれるかもしれない」、そう思って説明会の問い合わせをしたのが最初のきっかけです。個別相談会でプロジェクトの説明を受け、現地の様子のイメージが湧かなかった私に、「まずは一度自分で現地を見て来てください」とETIC.のコーディネーターに言われました。「はて、どうしようかな」と考え、岩手で活動している友人に問い合わせたら、すぐに電話がかかってきて。「明後日から行くから準備しておいて」と。

大慌てで準備をして、陸前高田や大船渡で海中の清掃をするダイバーチームのボランティアを手伝うことになりました。でもあいにく当日天気がすごく悪くって、思うように活動ができなかった。そうしていたら、現地のリーダーの方が、岩手に来るかもしれない私のために、色々と住民の方と話す機会をアレンジしてくださったんです。周りのお家が津波で流されてしまい、一軒だけ残った家に住んでいらっしゃる女性の話や、少しずつ再開し始めた漁師さんの話を聞くことができました。すごく濃密な時間でした。でも、あまりの東北の冬の厳しさに、私はここで生活するのは無理だな…、今回は諦めようと思ったのが、正直な気持ちだったんです。ところが、東京に帰って一週間経っても、なんだか岩手のことが気になるんですね。

そこで、直接プロジェクトリーダーに会って、気持ちを確認したいと思い、2月のマッチングフェアに参加しました。それが、現在のリーダーである鹿野さんとの最初の出会いです。その後、「現地でチームメンバーとも会った上で、右腕として参画したいかどうか決断してくれたらいい」と言われ、釜石を訪ねたのが2月中旬。まだ正式には決まっていなかった状態だったはずが、夜には地元の方と一緒に歓迎会が行われ、「あれれ、そういうこと?」と思いながら、あれよあれよという間に決まっていきました。笑

-なんだか運ばれていってしまった、という感じでしょうか。今回の右腕としての参画に、ご家族は、なんと?

もともと、そんなに家族と頻繁に連絡はとらないんですね。仲は良いけれど、お互いに干渉しない。2月14日が父の誕生日だったので、誕生日プレゼントを贈ったんです。そうしたら、珍しく電話がかかってきて、最近はどうしてるんだ?と。そこで、こういう理由で釜石に行くことになるかもしれない、と話したところ、「ぜったいに行くべきだ、このタイミングで行ける状態にあるんだから。俺の代わりに行ってきてくれ。」と全面的に背中を押されたんです。これまでの人生で、両親に何かこうしろ、と示唆されたことは一度もなかったので、余計にぐっときて。あぁ、これは行くことになるのかな、と思ったことも、大きなきっかけです。なんというか、それ以外にもたくさんの偶然やタイミングが重なって。3月15日から雇用マッチングプロジェクトの右腕として参画することになりました。

-参画してから2ヶ月半のお仕事を教えてください。

参画してすぐ、@リアスの別事業である仮設住宅支援のプロジェクトが佳境で、悪いが現場にヘルプに入ってほしいと言われ、いきなり本部から離れた仮設住宅団地で地元雇用されたスタッフとプロジェクトのスタートアップをサポートしました。ここでの1ヶ月半は、結構大変だったのですが、今思うと現場を体感するのに、本当に良かったと思っています。リアリティが増したのと、本部からは離れた現場への想像ができるようになりました。

その後、本部に戻り雇用マッチングプロジェクト・なりわい再生事業チームのメンバーとして企画と設計を おこない、先日Webサイト・Sanriku Worksをオープンしました。三陸沿岸部では、少しずつ求人数も増加傾向にあります。ところが、昔から地域で人気のある企業でも、なかなか応募がない。どこの企業も人不足に悩まされています。そこで、少しでも雇用促進の一助となるように、どんな仕事があるのか、企業で働く方や社長の思いを届ける情報発信サイトを始めることになりました。復興には地元の事業者支援が必要、と鹿野さんが昨年からずっとビジョンを持っていたものの、なかなか具体的に動かすメンバーがおらず着手できていなかった事業です。現在、プロジェクトリーダーの女性をはじめ、6名の地元のスタッフとともに運営しています。

あとは、5月の終わりに前職の後輩である友人を釜石に招いて、@リアスの理事メンバーを対象としたワークショップもおこないました。組織開発の経験がある友人がMBA留学から帰国、何か自分が役立てることはないかと問い合わせをくれたのです。鹿野さんと相談のうえ、理事メンバーに集まってもらい、友人のファシリテーションによるワークショップをおこないました。あまり気乗りのしないメンバーもいたようですが、なんとか、参加してもらった。それが、すごくよい場になったんです。

-どんなワークショップだったんですか。

@リアスや自分たちの仕事の「過去・現在・未来」を扱う一日でした。まずは過去にうまくいっていたこと、楽しかったことを話すことにたっぷり時間をとりました。共通の言語や意識を再確認したあと、現在のことを考えました。最後に未来に向けてどんなことをしたいのか、そのためには今の自分の何が足りていないのか、それを補うためにどんな手段を講じるのかなどについて、更に話を深めて行きました。研修後、参加メンバーから、ここを改善するために力を貸してほしい、他のスタッフにも一緒に同じような研修をやりたいから手伝ってほしい、と声をかけてくれたんです。本当にびっくりしたし、嬉しかった。

-右腕は、どんな存在だと思っていますか。

組織や地域の当事者としっかりコミュニケーションを取り、自分がハブとなって外のリソースを使って繋げる、という役割があると思っています。入って2ヶ月半が経ち、その手応えも少しずつあります。ありがたいことに、先の友人のように以前の仕事で関わった方々が気にかけてくれて、よく連絡をくれるんです。週末、自分たちにできることは何かないかと、東京から訪ねてくる知人を案内することも多いです。あとは、鹿野さんのディスカッションパートナーですね。これまでは、まだ形になっていないが将来的には必要だろうとぼんやり思っていることを、考えるための壁になる相手が少なかったと思うんです。今は、私や一緒に来ている右腕達ともそういうやりとりができるようになったと思うので、役割の一つだと認識しています。

-リーダーである鹿野さんの存在はどう見ていますか。

本当に頼りになります。心の大きい人。何か物事がうまくいかないときに、自分に原因があるのではないか?と自省できる人です。そこがすごい。これまでも、たとえば仕事の任され方が気になって、強く自分の意見を言たことがあります。でも思い切って話せるのは、鹿野さんは、受け止めて聞いてくださるだろう、という信頼があるからです。

-今後、取り組んでみたいことは。

@リアスのように、沿岸部の中間支援組織でサービスをひと通り持っているところは、たぶん他にない。現在、私が関わるなりわい再生事業以外にも、青葉公園に設置したインターネットカフェ「インターネット de かだって」の運営、「かまいしまるごと情報Web Cadatte」「キックオフ」などの地域情報発信Webの運営、仮設住宅で暮らす住民の暮らしをサポートする仮設住宅団地支援連絡員事業をおこなっています。これらのプラットフォームと、これまでの私の東京でのネットワークを生かして、大企業をもっと今後の復興に巻き込めないだろうかと考えています。また、私たちが当たり前にやっている、ちょっとした仕事の仕方を工夫して伝えることで、地元の人たちに刺激を与え、より良い組織や事業をつくるお手伝いをしていきたいですね。

-右腕への参画を考えていらっしゃる方へメッセージがあれば聞かせてください。

迷っているなら、ぜひとも来るべきだと思います。もやもやしている自分の価値観が、東北に来ることですごいスピードでクリアになる。今の東北は、本質がぽろっと見える、明らかにさせるエネルギーを持っている場だと感じています。

-ありがとうございました。

右腕が参画する前にリーダーである鹿野さんに右腕に期待することについてインタビューした際、言われたことをこなすだけでなく、全体の方向性の中で何をすべきか提案し、地元でずっと仕事をしている人たちに刺激を与えてほしいと聞いたことを思い出します。まさにそれを体現している津野尾さん。今後の展開も楽しみです。

聞き手・文:辰巳真理子(ETIC.スタッフ)

■津野尾さんは、7/1(日)みちのく仕事マッチングフェアのパネルディスカッションにご登壇されます。
関心がある方はぜひご参加ください。

■右腕募集概要:岩手県釜石エリア 雇用マッチング支援プロジェクト(右腕募集は現在終了しています)

■岩手県の右腕募集プロジェクトはこちら

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