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特集記事 「変化をうむお金の仕組みづくり」をみやぎで。

1544viewsshares2011.07.06

「変化をうむお金の仕組みづくり」をみやぎで。

復興にとどまらないまちづくりのための資金循環をつくるべく、新設財団法人の資金調達や体制構築に奔走中――。被災者をNPOとつないで支える合同プロジェクト(つなプロ)のマッチング班マネージャーを経て、今の活動をしている鈴木祐司さんにお話を伺った。【一般財団法人 地域創造基金みやぎ・鈴木祐司(1)】

-ここに来た経緯を教えてください。

鈴木:阪神大震災の時が18歳。中越のときは28歳。被災地で助けを必要としているのはわかっていましたが、自分がどういう役割を果たせるのか漠然としていて、入り口が見つかりませんでした。今回のつなプロという活動は、マイノリティの支援というテーマにひかれ、「呼ばれているな」という感覚がありました。色々なマイノリティの人は平時でもなかなか難しさがあるなか、こういう災害のときはより顕著になるなあと。自分の中で、今回の災害にかかわる入り口が見えたんです。

-入り口が見えた。

鈴木:自分も、学校に行かないという社会的な「マイノリティ」を経験していて。そして、NPOとつなぐという「コーディネート」も、その先の資金的なことも、これまで自分が20代の時に経験してきたことで、自分が貢献できる役割の「扉」が見えたんです。4月2日に仙台入りしましたが、仙台に来ることを決めたときから、現在の財団のようなポジションで仕事をすることを想定していました。

-他になにか理由はありましたか。

鈴木:昔からかかわっていた仲間がいたことですね。せんだい・みやぎNPOセンターの加藤哲夫さん、紅邑さんとつながりがあって、今回は行くべきタイミングだなと。昔からの仲間の存在を感じると、力がわいてくるように感じました。

-仙台に来て、どんなことを?

鈴木:5月11日に、せんだい・みやぎNPOセンター内に公益財団設立準備室を設置して、室長としてい動いてきました。それから、一般財団法人の設立に必要な300万円を、財団の設立発起人になって頂くという形で47都道府県全てから募るというキャンペーンを実施しました。現在400万円を超える支援の輪が広がり、無事に47都道府県から集まりました。

-なぜ47都道府県なんですか。

鈴木:今回のような災害をオールジャパンで支えて欲しいなと。大変な災害、悲しみも困難さも深いわけですが、だからこそ色々な人にすこしずつ関わって頂けないかというコンセプトです。Google mapでフラッグをつけたので、これも47都道府県キャンペーンには効きました。海外18カ国からもメッセージをもらっていて、2004年に津波の被害を受けたスリランカからも「一緒にがんばろう!」と。

-財団の今の動きは?

鈴木:財団をカウンターパートとして事業を一緒にやりたいと、国内外の団体からオファーを頂いています。同時に、商店主や個人事業の人たちから、支援をして欲しいが該当するプログラムがあるかといった相談も。被雇用者は雇用保険があるし、農業者には土地保障があるけど、現時点では商業施設や経営者向けの支援は、低利融資ぐらいしかないんですよね。

-経営者は大変なんですね。

鈴木:既に利子つきの融資を受けている企業は、いくら低利子融資でも、重ねて融資を受けるのは難しい。年齢の問題もあって。県北で飲食店をやっていた60代の方は、お店が被災してぜんぜん使えないばかりか、奥さんもまだ行方不明とのことでした。しかしいつまでも下を向いていられないから、自分のできることを何かやりたいと。ほかにも、テナントとして入居しているビルが被災し、ビルは修復するが見通しが立たないということで、商店主の方からのご相談もありました。家族もいるからまだまだ廃業にはできないのに…といったケースでした。

-この活動に感じている魅力は?

鈴木:多くのみなさんからのお志のある資金をお預かりする分、責任は重大ですが、新たな組織を立ち上げるというのは、様々な可能性を探求することでやりがいがあります。全体的な戦略を考えて、このリソースとこのリソースを組み立てると、こんな展開ができるとか。お金の場合は1万円をただ使うと1万円なだけだけど、それ以上にレバレッジをどうデザインしていくかですね。

-これから仕掛けていきたいことは。

鈴木:支援を受ける側も、支援をしようとする側も、どちらにも「よかった」と思ってもらえるかが間に入る側の役割だなと考えています。きちんと事業をまわしていくということもあれば、情報を正しく発信していくということでもあります。攻めの助成金もやりたいですね。助成を受け付けるだけじゃなくて、提案型の助成。米国フォード財団では、プログラムオフィサーの活動として、森林認証を企業3つがそれぞれつくろうとしてるところに、話し合いの場を設けて一本化させ、1つの認証になるようにコーディネートしていくということもあります。距離感も倫理観も凄く難しいけど、そうしたことにも挑んでみたい。

-地域に根ざした財団だからこその役割は?

鈴木:資金の流れてくる時期の問題がありますね。今は制度が検討されている時期で「空白期間」なんです。資金が必要としている人に現状届いていなくて。震災復興のNPOに対する助成金でも、NPO法人格がないと対象としないというケースもあります。こうした制度の狭間の案件に対して、仙台にいるからこそできる草の根の支援をしていきたいなと。せんだい・みやぎNPOセンターが母体ですし、地域ネットワークを広げていこうという連携復興センターの動きもあるので、一緒に多面的な動きを仕掛けていきたいです。地場の組織として、長いスパンで伴走しながら育てていきたい。

-他に何かやりたいことは。

鈴木:かつてない規模の震災だからこそ、従来のやり方ではできないことがある。だからこそ、色々なものを組み替えてやっていかなきゃいけない。資金がどういう流れで動くと、地域の復興につながるのか。やりすぎると依存になってしまうこともある。こういう経験自体が海外にも伝えていけるものになるのではないかと思ってます。今回の災害は、海があるところには、どこでも一定のリスクがありますよね。途上国で津波が起きるとか。その時のために、災害の経験、復興の経験を広く海外に発信していくべきだなと。

-現状の財団の体制は?

鈴木:6月20日に無事一般財団法人としての設立登記を済ませました。これで組織という器ができたわけです。現在は、自分ともう一人のスタッフの2人の専従スタッフに加え、せんだい・みやぎNPOセンターの担当スタッフの3名体制ですね。

-今後どんな組織にしていきたいんですか。

鈴木:常に理想と現実を彷徨っているんですけど、その中で自分たちが大事にしたいビジョンやバリューをいかに実現させていくか、個々の案件をベストな状況で具体化するための対話をしていきたいですね。どういう取り組みをこの地域でやると次の展開が変わってくるのだろうとか、この地域に資金循環を起こしていくときにどんな価値を大切にしていくべきなのかとか、そういったことを語り合いたい。10年後の地域社会・市民社会を育てるために何を大切にすべきか、価値にすべきか。それを議論していける場にしたいですね。

―どんな人にきてほしい?

鈴木:人と関わる、話すのが好きで、他の人が成功するとそれも喜べる人。いつも自分が前に前にということではなくて、状況を俯瞰して色々な仕組みやつながりをつくることで、ちょっとした変化のきっかけをつくり、大きな成果を狙う仕事です。あとは、自分はこれまでは非営利系のことをずっとやってきたので、金融や企業系のこと、情報発信に必ずしも明るくはないんです。そうした意味で、銀行や金融機関、出版関係のご経験をもった人が来てくれるのもありがたいなって。地域活性化がやりたい人にとっても面白いと思います。色々な人がオリジナリティを加えてくれればいいなと。

-最後に伝えたいことはなにかありますか。

鈴木:東北から、復興であり、まちづくりの新しい取り組みを国内外に発信していく。これって非常に大きな時代性があると思うんです。20代~30代という、人生で一番活発な時期にこういう大変な災害が発生し、その時代を生きている私達にそれぞれの立場で何か出来ることがあって、その扉は入ってこようとする人にむけて既に開かれていると感じます。この財団での業務は、その「扉」の一つです。地域の将来や、そこで暮らす人々の将来を地域の方々と共につくっていきたい。「変化を生み出すお金の仕組みづくり」を共に考えられる仲間と出会えたらと思います。

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