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特集記事 住民自治による持続可能な地域づくり

リーダーがビジョンを語る1566viewsshares2011.10.04

住民自治による持続可能な地域づくり

外部のリソースに依存し過ぎない、地元雇用での復興。国の緊急雇用を有効に活用したその仕組みの原点は、2006年から始まった北上市の住民自治の取り組みだった(インタビューの前編はこちら)。仮設住宅支援の先に見据えるビジョンについて、菊池広人さんに伺った。【大船渡仮設住宅支援員配置支援プロジェクト・菊地 広人(2)】

-緊急雇用事業は2年後に終わりますが、こうした枠組みはどうなっていく見通しですか?

この仮設住宅での取り組みについては、時限の事業と考えています。ほかにも、市の交通網の問題や、買い物難民の問題などがあって、そうしたコミュニティ支援については、緊急雇用事業で担い手を育成しながらやっていきたい。外の方々のリソースに依存せず、中の労働力をどう創出できるかだと思っています。そのスタートとして、緊急雇用で予算がついて、大船渡という地域の中で貨幣循環があれば、市の自立に向けて、もう少し若い人たちも戻ってくるだろうと思っています。

また、県としては他地域にも展開したいという志向があります。北上市のモデルも他に有効な地域は必ずあると思っています。近いうちに、今の仮設住宅のアセスメントの結果、現状の課題とその解決案を持って、他の市町村提案にいく予定です。

たとえば、1ヵ月で今の大船渡でのモデルを全部吸収して、他の地域に移転していきたいというような人がいれば、ぜひ一緒にやりたいですね。

-市町村合併した過疎地では、自治機能が弱まっているという課題をよく聞きます。そんな中、自治体が本来やるべき枠組みをNPOや民間企業が実現しているすばらしいケースだなと思って聞いています。

2006年から始まっている北上市の自治会への公民館の指定管理が、やはり大きな流れの一つだと思いますよ。北上市の各自治協議会では、3月11日から何時にどういうできごとがあったかを全部記録したり、優先順位を決めて移動支援・炊き出しを行う等、地域によって、かたちは違えど、組織的に防災活動を展開していました。別に市から指示されてから行ったわけではなく、それぞれの地域の自治協議会、自主防災組織がこれまでの積み重ねをそのまま実現化していただけです。ある公民館では、その地区の独居の高齢者を公民館に集め、事前に購入していた発電気を使って、不自由なく一緒にご飯を食べていたところもあります。また、震災前に地図で要支援者をプロットして把握していたので、震災後すぐに見回りをしていた地区もあります。

-本当に住民自治が機能していますね。

地元の人たちが担うからこそ、サービスの需要者と供給者が近くてコストパフォーマンスが高いんです。北上市が、なぜ指定管理やったかというと、もともとは単純に市にお金がないからです。市の職員が公民館の管理をやるよりは、住民に任せるほうがコストが圧倒的に安い。それはそうですよね。そこで指定管理が始まった。しかし、実際は「コストを削減する」のではなく、地域住民が「公共サービス」を担うことによって、「サービスのクオリティ」があがっています。さらに地域計画をもとに、市の補助以外にも、自分たちで企画書をつくり、別途国からの補助金をとって色んな試みをしているところもあります。

ある地区は、過疎地の輸送運送事業として運輸省からの予算をとり、お隣りの人をバス路線まで送ることに課金する仕組みを試したり、農協が閉鎖したあとの施設を買い取って給食サービスを開始するなど、地域の課題解決のために自分たちで進めています。個別ですごい地域は他にもあるでしょうが、市の政策としてここまでやっているのは、北上市くらいだと思います。

そうした取り組みに、私はいわてNPO-NETサポートのメンバーとして、計画づくりの支援、企画書の作成支援や地域の課題共有などのお手伝いをしています。たとえば計画を作る時に地区の住民の数、人口のピラミッドを各地域で出します。あるいは土地利用のこと、農家の人口など、地域ごとの課題を共有できれば、あとは住民の皆さんは前向きに動くものです。逆に課題が見えないと、下水を引け、ここに道路をつくれ、となってしまう。

岩手の中で、農村部、山間部、漁村で暮らせる環境を創っていくことは、震災前から人口が1%ずつ減少している岩手県にとっては、戦略的な活動であると思います。「安心」「便利」が最優先であれば、周辺市町村よりも盛岡、盛岡より仙台、仙台より東京と、都会に向かってどうしても人が流れてしまいます。しかし、「岩手らしい住まい方・暮らし方」を伸ばす方向性であれば、その良さを老若男女それぞれが共有することによって、社会的流出を抑えることができ、どこかのタイミングでは、人口減少を抑えられると思います。つまり、まずは外の人に来てもらうためではなく、中の人に残ってもらうための仕組みづくりをやっています。住んでいる人が愛している地域はそのうち地域外からも人は来てくれる、そのような優先順位です。

-今後、菊池さんご自身としてはどういうことを目指していますか?

自分自身のミッションとしては2つあって。一つは、「持続可能な地域をつくる」こと。もう一つは、「持続可能な生活ができる環境をつくる」こと。岩手県が日本で初めて地域で人口減を止める地域になるように、まずは北上市でより多くの主体が公共の担い手になれる仕組みづくりや適正な土地利用や既存ストックの効果的な活用、そして自治の推進をおこなっていきたいと思います。あとは、体操のおにいさん。僕にとってはこれも大事な仕事です。全ての人が100歳になっても自分の思いどおりに、行きたい場所へ行け、会いたい人と会える。そのための体力維持・健康増進的なアプローチと公共交通などの生活環境の両面でのアプローチもしたいです。体操のお兄さんは、体操のおじいちゃんになるまでやっていくと思いますね。

-北上市と民間企業、NPOによる協働事業の仮設住宅運営支援事業や、北上市の住民自治の風土が他地域に展開していくためには、菊池さんのようなコミュニティオーガナイザーが必要とされていますね。ありがとうございました。

■右腕求人情報:大船渡仮設住宅支援員配置支援プロジェクト(9/30募集開始!)

■記事の前編はこちら:地元雇用での復興を目指した仮設住宅サポート

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