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特集記事 「陸前高田に「ほっとできる場所」をつくる」

リーダーがビジョンを語る6993viewsshares2014.08.25

「陸前高田に「ほっとできる場所」をつくる」

震災から3年経った陸前高田市に存在する仮設住宅は2012戸、今でも仮設住宅に住んでいる人は4980人にも登ります。(H26年6月30日現在。岩手県HP より)

そんな陸前高田市で、9月11日にオープン予定の滞在型交流施設「箱根山テラス」。事業のリーダーは陸前高田市で建設会社「長谷川建設」を経営している長谷川順一さんです。震災以降、瓦礫処理など復旧作業に加え、仮設住宅の管理業務なども担ってきました。全く異業種からの参入となる「箱根山テラス」の事業では、地域の人にどのような空間を提供することを目指しているのでしょうか。長谷川さんに、事業への想いを伺いました。

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—箱根山テラス事業が生まれた経緯を教えて下さい。

 

震災以降の陸前高田は、人が集まろうと思っても、ゆっくり過ごす場所がないような状態でした。震災前は、気軽に集まりやすい場所があったのですが、現状では少なくなっている状況です。ボランティアやビジネスとして外部の方が陸前高田にも多く来て頂いておりますが、せっかく来て頂いても泊まれる場所も少ない状況でした。「人が集まれる場所がほしい」と声があがりました。「ちょっとみんなでお茶しよう」、「ちょっと真面目な会議をしよう」と人が集まれるような場所が震災以降陸前高田には徐々に出来ているものの足りている状況ではないのが現状です。

もともと私が、「森の学校」を作ろうと思って取得していた土地があったので、その土地で作ろう、となりました。その場所が「箱根山」なんです。箱根山に、陸前高田の人が集い、そこに外部からも人が来て新しい空気をいれてくれる空間、「人が集う場所」として箱根山テラスを作っています。

 

—なるほど。箱根山テラスを「人が集う場所」にしたいのですね。

 

陸前高田市では今でも仮設住宅に住んでいる人々が多くいます。メディアでは、「普通の暮らしが営まれるようになった」というような報道がされることもありますが、仮設に住むということは「普通の暮らし」ではありません。仮設住宅というのは、プライベートが守りづらい空間です。やはり、せまい空間に複数人が一緒に暮らしていると、窮屈な想いを強いられます。そこで、知らず知らずのうちにストレスが溜まってしまうものです。狭い仮設の中では、酸欠状態です。仮設暮らしが長引いて、ストレスがたまっている人がふとした瞬間に爆発して、それをなだめる人がまたストレスがかかってしまう・・・というような連鎖も生まれているんです。

だから、「箱根山テラス」が、陸前高田に住む人々にとって、ここに来れば「ほっとできる」と思ってもらえるような場所になってもらえれば、と。そして、そこに外部からも人が遊びにきて、交流するような空間になってほしいです。

私も、仕事が負われて忙しいとき、やはり一人でふっと力を抜く時間が必要だなあと思います。一人になって自分を見つめ直すからこそ、周りの人にも優しくなれるのではないかと思っています。

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建設途中の箱根山テラス

—宿泊施設としての箱根山テラスの魅力を教えて下さい。

 

新たな挑戦としては、木質バイオマスエネルギーを導入しようとしています。(長谷川建設で取り組んできた木質バイオマスへの取り組み)日本でも、山小屋や民宿で木質バイオマスボイラーを使っていることがありますが、箱根山テラスでは、木質バイオマスエネルギーを給湯利用して各部屋に温水を分配しようとしています。

これで、自然エネルギー関連・木材関連の会社など陸前高田以外でも広域的にさまざまな職業の人とのつながりが生まれています。ゆくゆくは、木質バイオマス施設をめぐる「エネルギーツーリズム」を企画したいと考えています。

そして、「食事の取り方」は人間が生きる上でとても大切なものだと思っていまして、「箱根山テラス」では、宿泊をする際は必ず朝食込みなんです。朝食をとらない人は泊められません(笑)。食事には地域の食材を使って、地域を感じられるような料理にもしています。外からここに来る人たちにとっても、ここで滞在することで、自分を見直すきっかけを持ってほしいと思っています。

「箱根山テラス」は、まだまだ可能性が広がる建物です。私たちも、この「箱根山テラス」と一緒に成長していければと思っています。

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「箱根山一家」。左上が長谷川さん。

 

—建物と一緒に成長していくってなんだか素敵ですね。「箱根山テラス」では、どのような雰囲気で働いているのでしょうか。

 

私たちは自分たちのことを「箱根山一家」と読んでいます。社員やチームというか、「家族」だと思っています。右腕が入ってくるのも、新しい家族が増えるイメージで迎え入れたいと思っています。

 

—新しい「家族」としての右腕。では、右腕にはどんな期待をしていますか?

 

現場に入るのを厭わない人に来てもらえれば、と思っています。事務所にこもっているタイプではなく、現場に入って地域の人と会話して、その中でヒントをもらって企画を出してくるようなイメージです。その上で、さらに現場で感じたものを「ソトモノ」の視点から発信していってほしいと思っています。具体的には、ウェブサイトの管理や、SNSを使ってリアルタイムな情報の発信をしていける人がほしいですね。

先ほど述べたように、「箱根山一家」として「家族」なので、私たちも右腕も、「箱根山テラス」と一緒に成長していければと思っています。誰かが先生で誰かが生徒のような関係ではなくて、お互いが成長していく、そんな関係になれればと思っています。

 

長谷川建設にはすでに「右腕」として溝渕康三郎さんが派遣されています。溝渕さんが入ることによって、「ソトモノ」の視点がもたらされ、事業や地域が活性化した、と長谷川さん。

溝渕さんの右腕インタビュー

新しい右腕によって、さらに「箱根山テラス」が盛り上がるといいですね!ありがとうございました。

 

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