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特集記事 15カ国旅した元翻訳家、三陸の海藻で石鹸をつくる!南三陸石けん工房・厨勝義さんインタビュー

リーダーがビジョンを語る11686viewsshares2015.07.10

15カ国旅した元翻訳家、三陸の海藻で石鹸をつくる!南三陸石けん工房・厨勝義さんインタビュー

宮城県南三陸町で2015年に設立された「南三陸石けん工房」。町内の資源を生かし、製造されるカラフルでかわいい石けんは、SNS等で話題となっています。その工房を運営する株式会社アイローカルが、新たに右腕を募集。

震災後、南三陸に移住し、現在、代表取締役として本プロジェクトを推進する厨勝義(くりやかつよし)さんに話を伺いました。

●南三陸石けん工房の右腕募集要項:http://michinokushigoto.jp/project/9277

南三陸石けん工房・厨勝義さん

南三陸石けん工房・厨勝義さん

―まずは南三陸石けん工房プロジェクトの概要を教えてください。

2015年1月に起ち上がった「南三陸石けん工房」は、アカモクやワカメなどの海藻類や、竹、トウキ、シルクなど地元の資源を生かした手作りのオーガニック石けんの製造販売を行っています。現在は、今年の夏以降に販売を開始すべく、商品開発中です。手作り石けんの体験ワークショップや販売を通して、地域に雇用を生み出すことを目指しています。

―厨さんと南三陸町の関わりのきっかけはなんですか?

震災から2週間後、ボランティアとして初めて南三陸町を訪れました。初めて訪れたときには、ただただその光景に途方に暮れるしかなかったのですが、できることを続けていこうと震災から3ヵ月後、移住を決断。その後、地元住民とNPOとのマッチングや、起業支援など、地元の人たちに寄り添いながら活動を行ってきました。

―そうした活動を行ってきたなかで、なぜ起業をしようと思ったのですか?

活動を通して直面した課題が、雇用の創出でした。とくに「若い女性」にとって魅力的な雇用の場が少ないことが、人口流出、高齢化といった地域課題に繋がっている現状に気付かされました。ならば、そうした女性にとって魅力的な職場さえ作ることができれば、若い女性が自然と地域に残ってくれる。そしてそのまま地元で結婚し、家庭をもつことで、少子化の歯止めにもなりえます。女性中心の会社が地域の中で存在感を高めていくことが出来れば、彼女たちにとって住みやすい町になっていくのではないか、また、若い世代が増えていくことが、高齢者を支えていくことに繋がるのではないか、と考えました。まさに、地域課題のボトルネックを解消することができると考えたのです。

 

自然素材を使い、余計なものを極力はぶき、てまひまをかける。 肌もライフスタイルも本来を取り戻す。そんな夢をみながら石けんをつくっています。

自然素材を使い、余計なものを極力はぶき、てまひまをかける。 肌もライフスタイルも本来を取り戻す。そんな夢をみながら石けんをつくっています。

―地域において、様々な加工品や工芸品などの起業があるなかで、なぜ“石けん”にしようと考えたのでしょうか?

その理由は2つあります。1つ目は、事業のビジネスとしての天井が高いこと。2つ目は、南三陸という地域で作る強みが存分に生かされる、ということです。

1つ目には、現在、安価な石けんが多く市場に出回る中でも、LUSHやBODY SHOPなどの、香りやデザインの種類が豊富で高単価な商品も広く浸透し、人気を博しています。雇用を生み出すには利益を得なくてはなりません。その可能性が石けんにはあると感じたのです。

2つ目には、南三陸が海も山も近く、その両方の豊かな資源に恵まれていること。これは地方においても多くはありません。地方でのモノ作りは、そこの資源にどうしても依存してしまいます。しかし、海も里も山もある南三陸には、すべての資源があるといっても過言ではないほど。そしてどんな素材とでも無限のコラボの可能性がある石けんこそが、南三陸であることの強みを最大限生かせるのではないか、と考えました。

原材料と石けん。ふのり(左上)、シルク(中央)、干しわかめ(右上)。

原材料と石けん。ふのり(左上)、シルク(中央)、干しわかめ(右上)。

―実際に作られた石けんへの反応は?今後の展望はどのように考えていますか?

体験や見学に来られた方は、まず間違いなく「わあ、きれい!」と声をあげてくれます。そして、携帯等で写真を撮っていかれます。何かしら、こころをつかむ要素があるのだと思います。
まずは、仙台や東京などの都市部に住む女性をターゲットに販路の拡大をしていきたいです。また、少量生産も可能なので、個人や企業の細かい要望を聞きながら、オーダーメイドでの製造も行っていくことで、「ここでしか手に入らないこだわりの石けん」として価値を生み出していきたいですね。

さらに、日本食などに代表されるように、日本文化の価値を海外が買う時代が来ています。日本のスキンケア製品も海外で高く評価されています。そうした状況の中で、この南三陸発のオーガニック石けんも、アジアや欧米への展開を視野に入れています。南三陸産の石けんが海外で評価されれば、石けんの原材料を提供していただいている方々にもよいご報告ができると思います。
ここで作る石けんで、町内の人が町に残るだけでなく、仙台や東京といった都市部の人がこの石けん工房に就職したいと思ってもらうこと。田舎から人が出ていくのではなく、流入するくらい魅力的な石けんを作っていきたいです。

まるでお菓子のような石けん。

まるでお菓子のような石けん。

ーそうした中で現在の課題と、右腕の方に期待することは何ですか?

私たちは、まだまだ起ち上がったばかりの団体です。そのため、右腕の方には、ほぼすべての業務に関わっていただくことになります。町内の資源を生かした新商品の開発や、製造プロセスにおけるマニュアルの作成などの業務、販売・マーケティングの実行など、まさに「右腕」ですね。

その中でもとくに求めているのが、プロジェクト推進に関して、取りまとめとスケジューリングができること。今後、営業やオーダーメイドでの制作受注などの拡大を図っていきたいと考えています。必須とまでは言いませんが、「対法人」の経験があり、「顧客のメリットは何か」という視点をしっかりと持ちながら、製造販売のプロセスを遂行していくことができる方が望ましいですね。

ーまさに、地方での起業を共に行っていく人材ですね。

正直、右腕に求めているレベルは非常に高いです。それでも将来、南三陸に限らず、地方で起業したいと思っている方にとっては、とてもよい機会になると思います。むしろ、この石けん工房での右腕活動を、今後の自身の活動のステップとして捉えるくらいの気概があると嬉しいです。

1年後には宮城県北で代表的な新興企業として認知されるくらい、このプロジェクトを一歩一歩しっかりと進めていきたいと思っています。

●南三陸石けん工房の右腕募集要項:http://michinokushigoto.jp/project/9277

●南三陸石けん工房WEBページ:http://www.i-local.co

●7月25日(土)の「みちのく仕掛け人市@東京 2015 SUMMER」に、厨勝義さんが分科会&交流会に参加します(詳しくはこちら:http://michinokushigoto.jp/fair )

(書き手・写真:浅野拓也)

 

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