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特集記事 笑いのたえない、お母さんたちの手仕事工房

リーダーがビジョンを語る3893viewsshares2012.01.25

笑いのたえない、お母さんたちの手仕事工房

宮城県南三陸町の南部、戸倉地区にある水戸辺仮設住宅。その仮設住宅の集会所を作業場にして、色々なものを作るお母さんたち。様々なボランティア団体の応援を受けつつ、自分達のできることを一つずつ広げて、着実に前へ進んでいる。笑いの絶えない温かいその作業場にお邪魔してお話を伺った。【三浦幸子・松岡由香利と水戸辺のお母さんたち】

 

 

―この作業場が出来たのはいつ頃なんですか。

仮設住宅の談話室としてはずっとあったんです。でも、エコバック縫い始めてから作業場になった。それまでは、談話室だったからボランティアに来た学生さん達と飲み会もしたしね。飲み会場だったのが工房に変わってしまった(笑)。「今日飲み会します!」とか「泊まります!」って言われれば空けるけどね。

―メンバーは今いらっしゃる皆さんで全員?

そうですね。勤めに出てない仮設内のお母さんたちは全員参加してますね。特に作業する時間とかちゃんと決めてる訳じゃないんだけど、みんな真面目に朝から来てやってるんですよ。

―今は、どんなものを作ってるんですか。

自分は、毎日エコバック縫いしてるよ。あとは、おそろいの生地で作ってるティッシュケース、つんぬぎ(綿入りベスト)とかをミシン使ってて、あとは繭細工や編み物もあるし、色々やってるよ。

―エコバックはいつから始めたんですか。

「ふんばろう(※1)」さんが来てからだから、10月の中頃かな?日にちまで覚えてないけどねぇ。

―他のものを作り始めたのは。

ティッシュケースは最近かな。これも「ふんばろう」さんの講習に何度か行って、教えてもらったのをやってるんです。材料の布もそこから頂いたものも多いんで、今作ってるこのエコバッグも「ふんばろう」さん経由でイベントで売られるんですよ。日曜に東京タワーであるイベントで売ってもらうのに、午後には送らなくちゃいけなくてね。

―手仕事自体を始めたきっかけがエコバッグなんですか。

いや、最初は編み物から始めたんですよ。自分達で何かできることないかなって。はじめはエコタワシを作っていたんですけど、あちこちで作られててあんまり需要がなさそうだったんで、自分達ができるものを作りましょうということで、今はマフラーとか帽子を作ってるんです。

 

 

―そういえば、繭細工もやってませんでした?

繭細工は毎日夜にやってるんです。

―先日の11月の福興市にも出展したんですよね。

学生さんたちにも手伝ってもらって、つんぬぎを。学生さんたちがモデルになって着てもらってねー。結構出ましたよ。素人商売であのくらいだったら十分だと思います。買ってくれた人に温かい豚汁のサービスとかしながらね。

―エコバックも福興市で販売したんですか。

そうですね。「ふんばろう」さんのは「売れる場所があればどうぞ」ってことなんで、福興市でも売りましたよ。値段はエコバッグもポケットティッシュも向こうが決めてて、「ふんばろう」さんに送ったのは、全部手数料なしで売れた分だけお金くれるんですよ。なので、助かりますね。

―他のところでも売ってるんですか。

志津川にあるベイサイドアリーナでも売ってます。この辺りの戸倉地区で活動してるボランティア団体の「戸倉復興支援団」の方が買い取りで持って行ってくれてるので。先週からそっちでも売ってますね。50個持ってって、すぐに30個無くなったって。材料の布も、「ふんばろう」さん以外にも色んなところから頂いてるしね。毛糸も皆さんから頂いてね。

―毛糸の製品はどこに出してるんですか。

福興市で売ったのと、あとは個人的に売る感じです。なので、頼まれた時点で編むようにしてますね。福興市のときは編んだんですけど、しばらく福興市も無いんでね。

―「ふんばろう」さんはいつまで続くんですか。

2年は応援してくれるみたいです。糸井重里さんが気仙沼に事務所作られて、私たちも直接会った時に「2年間は面倒見ますので頑張って下さい」って。それから早稲田の西條さんとお二人で、町のホテル観洋までみえて、3回くらいはお会いしたかな。

 

 

―こういう手仕事をやっているのはこの地区で他にもあるんですか?

みんな始めてるけど、商売になったのはうちが早かったかなぁ。自然の家や津の宮ってとこでもやってるはずだよ。

―どんどん活気づくと良いですね。もちろん、水産の方も。

そうだね。段々、ワカメやカキも売るつもりだからね!お歳暮にそのうち買ってもらえるようにね。

―確かに、それ良いですね。

いつもお歳暮に詰め合わせ頼まれて送ってたんだけど、5000円セットとか送料込みで。アワビ、カキ、タコ、ワカメ、昆布とかセットで入れてね。でも、今年は何にもないからね。

―お父さんたちは?

瓦礫の片付けに行ってたけど、今は無いからワカメの養殖を。船ないからねぇ。でも、お正月用のカキはちょこっとだけど水揚げするみたい。ほんの少しだけど、みんなで食べるくらいあげるってね。松島で残って、1年育ってるやつを入れたから、ここの海に入れたのは震災後すぐにだけど。半年くらいで食べれるようになるんです。楽しみですね。あと、アワビあれば最高なんだけどね。

―アワビもとれるんですか。

いや、今年は船ない人が多いから、解禁しないんじゃないかなぁ。一部の場所では解禁したみたいだけどね。

―では最後に、これからやりたいことはありますか。

すぐに出来ることだとね、お年寄り達のクリスマスプレゼントにしようと思って、この毛糸の帽子を昨夜編んだんですよ。結構あったかいからね。クリスマス前に出来上がったらみなさんにあげられるかなって。長期的にはね、自分たちの特許じゃないけど、ずっと売れるもの、「水戸辺といえば、これ!」っていうのをやれれば、ずっと続くかもしれないって思うよね。

―期待しています!またお邪魔させて下さいね。

 

※1:文中の「ふんばろう」はふんばろう東日本支援プロジェクトのことを指しています。

公式ページはこちらから:ふんばろう東日本支援プロジェクト

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