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特集記事 あたらしい会津の「職」・「充」をプロデュースする

リーダーがビジョンを語る5039viewsshares2011.08.30

あたらしい会津の「職」・「充」をプロデュースする

福島第1原発からの距離がほぼ約100キロの会津若松市。ここ、福島県会津地域を中心に、避難者の長期支援に取り組んでいる元気玉プロジェクト。避難所のアセスメントを実施し、避難者が抱える様々な問題に気づき、コミュニティの繋ぎ直し支援を行っている。これからの活動の展開や課題について、リーダーの貝沼さんにお話を伺った。

前回の記事:地域の繋がりからうまれた、毎日「おにぎり2000個」

-そもそも、活動をはじめようと思った問題意識は、どういう所にあるのでしょう。

やらずにいられない、というかね。人から教えてもらった言葉なんだけど「気づいた人の責任」て言葉がすごく好きで。「気づいたんだったら、やる責任があるし、やれる状況だ」って。やれる状況があって、幸せだなとは思ってる。やっぱり、会社員だったりすると、今やってるような活動を今のような立場ではきっとできなかったしね。

―なかなか動けなくて、ジレンマを抱えている人も多いですよね。

震災直後、今もそうかもしれないけど、結構みんな、なんかやりたいけどやれない無力感が大きいような気もする。おにぎりセンターをしていた時のボランティアのある参加者さんがブログに「やれることがあって良かった。何かやらないで一人でいるとつらい」って書いていて。すごい嬉しい言葉だなと思ったんだ。あの時期って本当に何かやってないと、心がもたなかったから。

この次の元気玉3.0 はどういう展開になっていくのですか。

元気玉2.0では今何が起こっているのか、これから何が起こるのかっていうことをアセスメントを通じて調べました。3.0は、そこで見つけたニーズを解決するためのプロジェクト化や、県外と避難者をどうつなぐかなど、実践フェーズに入っていく。さっき話したバーベキューやワークショップのような小さなプロジェクトをどんどんやっていくことになる。仮設住宅は2~3年は続くから、いかに続けていくことができるかが大事だと思う。

-実践するにあたって課題だと思っていることはなんですか。

やっぱり人かな。アセスメントをやると気づきが多いし、「あれもやらなきゃ」・「これもやらなきゃ」ってどんどん見えてくるけど、人がいなくて。仙台なんかは、人がいっぱい集まっているけど、会津の場合は常駐で、ある程度中長期で支援を担える人がまだまだ少ない。今回のマスメディアって、取り上げるものはみんなが取り上げるけど、取り上げないものはみんなが取り上げないっていう感じで、そういう影響も受けてると感じている。

-確かに、特定のところに集中してフォーカスがあてられますね。

もちろん大きな被害を受けた被災地は大変なんだけど、他市町村から避難者を受け入れている会津のような「準被災地」も、それはそれで課題も多いし、避難者支援と地域の復興を重ね合わせていかなきゃいけない。そういう意味では、一次的なボランティアも大事だけど、中核的コーディネーターがすごく不足している。あとは、うちのような株式会社形態だと寄付金も集まらない。そういう意味で、やっぱり人と資金かなあ。

-人と資金をどのように集まればよいかという課題は、ほかの活動でもよく聞きます。共通の問題なんでしょうね。右腕にはどういう方に来ていただきたいですか

プロジェクトをまわすのが好きな人は、超やりがいあると思う。0から1をつくっていくことに喜びを感じられる人には、いいと思うよ。今回の場合、本当に困っている人がいっぱいいて、これをやったらこういうふうにこの人たちの困りごとが解決するっていうのが目の前にいっぱいあるから。ニーズが見えやすいし、目指すべき部分もわかりやすい。ソーシャルビジネスの根本の部分が学べるし、その現場が本当にリアルにある。普通は、何を目指して、どこに困っている人がいるんだろうって言うところから探さなきゃいけないところがあると思うんだよね。今回はその部分がすごく明確だから。地域活性やりたい人とかソーシャルビジネスやりたい人とか社会的起業家のようなことを目指している人にとっては、こんなにいい修行の場はないと思う。自分でも、震災後の数ヶ月で学んだことって10年分ぐらいに匹敵するなって思ってる、本当に。

―10年分はすごいですね。

自分の中で未開拓だった部分が、すごく広がるんだよ。社会福祉協議会とかも、名前はよく聞くけど、何をしているのかよく分からない組織ってイメージしかなかったんだけど、今回話してみたら、すごく地域の中で果たしている役割大きいんだなあと思ったりね。社会福祉士の人の話聞いたりすると、こういう仕事って素敵なんだなぁと感じたり。

-会津ならではとか、このプロジェクトならではの魅力やおもしろみを教えて下さい。

これからの話で言うとね、「医・職・充」が大事だって話をこないだ教わった。今までの段階までは、まず「衣・食・住」を守ることが必要だったの。衣服と食べ物と住む場所。だけどもう仮設もできて、別の衣・食・住が大切になってくるって話をしていて、それはつまり、医療の医、職業の職、充実の充。元気玉プロジェクトや僕が大事にしたいのは、「職」と「充」。で、職ってところで言うと、やっぱり避難者さんが新しい会津という地域の中で役割を持ったり、仕事を楽しくできるってこと。さっき言ったように、「ありがとう」を言う側から言われる側になること。あと、せっかく会津にいるから、伝統工芸とか地場産業の人たちともつながりを作りながら、生活の楽しさをどう作っていくかっていうのをすごく大事にしたい。さっき言ったような、職人さんやアーティストと一緒にワークショップをやるとか。楽しさっていうか、笑顔をつくりたいな。それが、避難者さんたちのためだけでなく、会津の復興に繋がっていくはずだから。

-最後に、何か伝えたいことはありますか。

まあ、本当チャンスだと思いますよ。こんなの人類史上誰も経験してないことじゃん。福島の場合は、原発の20km圏内とかには戻れないかもしれないしね。新しくいいまちを作っていくってことが本当にリアルに求められている。地域をどう新しくプロデュースしていくか。どう生きていこうか、みたいなことを社会や自分に問いかけながら、全体をプロデュースしていく仕事だから、こんなに鍛えられることはないよ。

■右腕求人情報:避難者支援を通じた復興まちづくりプロジェクト

■関連イベント:戦略ミーティング&「右腕」マッチング説明会 vol.2〜避難者と地域住民を繋ぎながら新しい「仕事」を創りだす@福島

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