みちのく起業 一期生メンバー紹介
NPO法人アスイク
大橋 雄介 /被災3県
【HP】 http://asuiku.sendai-net.com/
【facebook】 http://www.facebook.com/asuiku0328
事業概要
■ミッション
低所得家庭の子どもたちの問題に当事者意識をもつ市民や組織を増やし、それらの力を結びつけることによって、被災地から「子どもの貧困」問題を緩和するモデルを生み出し、東日本大震災からの真の復興を実現する。
■ビジョン
経済状態に関係なく、低所得家庭の子どもが必要な教育を享受できるシステムをつくり、日本の教育サービスにイノベーションを起こす。
■事業計画
これまでの教育サービスでは顧客として見られなかった低所得層に対して、様々な主体を巻き込むことによってサプライチェーンをつなぎ、良質の教育サービスを低料金で提供する。まず、E-learningプロバイダーとの提携によって、良質のコンテンツを低額で仕入れる。また、小さなエリア単位で子どもの集客・フォローを担うインストラクターを養成することにより、広く普及すると同時に、E-learningが効果的に活用されるようにする。低料金×規模の追求によって、事業として成立させる。
社会的な孤立に陥りやすい家庭に対して、比較的不安の多い教育面からアプローチすることによって、自分に期待してくれる、認めてくれる人とのつながりを生み出していく。
■展開計画
1年目:仙台市内でのパイロット事業/受益者1,000人 (仙台市内市場の7%)
2年目:被災3県への横展開/受益者5,000人 (被災3県市場の6%)
3年目:日本各地への展開/受益者10,000人(全国市場の0.4%)
事業を始めたきっかけ
私がこの事業を立ち上げたのは、震災が発生して2週間後でした。キッカケは、復旧会議で行政から提供された「学校再開がいつになるか分からない」という情報。このまま学校再開が遅くなれば、特に避難所で生活している子どもの学習遅れの問題が深刻になると感じ、さまざまなカベを乗り越えていち早く避難所での学習サポートを開始しました。 幸いにして、少なくともカタチだけは学校が再開されていきました。しかし、避難所、仮設住宅等で活動を続ける中で、そして白書を出版するために保護者や子どもの声を拾い上げていくにしたがって気づいたのは、取り残された被災者と貧困問題は極めて近しいこと。元からの困窮者が取り残されていく現実。そして、被災者にだけ届けられる多くの支援が、周囲からの偏見や妬みを生み出しているという現状でした。
だからこそ、私たちは単に被災者を支援するのではなく、先進国における貧困(相対的貧困)として問題を捉えなおし、対象を広げなければならないと考えるようになったのです。 しかし、日本における子どもの貧困率は約15%、6人から7人に1人という規模の大きな問題。これまでのような拠点に子どもを集め、マンツーマンでボランティアをマッチングするというやり方では、規模的にはもちろん、資金面を含めた継続性、さらには教育効果という面でも限界があります。この3つの限界を克服するために、大きく舵を切ろうとしています。
筑波大学卒業後、ネットベンチャーのコピーライター、地域活性化コンサルティング会社の創業期メンバーを経て、株式会社リクルートマネジメントソリューションズのコンサルタントとして、大手企業に対する組織開発コンサルティングに従事。
2010年3月に独立、NPO法人せんだい・みやぎNPOセンターに関わり、故加藤哲夫さんに師事。ソーシャルビジネスの起業支援やネットワーク形成プロジェクトを担う傍ら、震災発生直後にアスイクを設立。著書に、「3・11被災地子ども白書」(明石書店)等。
【ひとことコメント】
およそ240万人の6歳~18歳の子ども・若者が、一般的な所得の半分以下で生活しているのが、日本の現状です。
この規模の大きさに対して、小規模なNPOが単独でなしえることは、たかが知れたものです。
しかし、その小規模なNPOに、企業、行政、市民といったセクターを越えたチカラが集まれば、問題解決に対するインパクトは飛躍的に高まります。他方で私たちは、様々な主体が自己犠牲的に関わることを望みません。それでは関係性の継続や広がりに限界があるためです。それぞれが金銭・非金銭的な面で相互に依存するネットワークのデザインを追求していきます。
この問題に対して貢献できるリソースを持っている方、洗練された強力なパートナーシップを組んでいきましょう。