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『おらほの家』プロジェクト

野津 裕二郎 /宮城県石巻市牡鹿半島

野津 裕二郎

事業概要

保険制度外サービス等として介護予防が必要だと思われる高齢の方や精神・身体障害者、子供達、いわゆる弱者と呼ばれる方々を対象として、震災後問題となっている生活不活発病の予防、精神的・身体的なフォロー、新しい公共としての地域コミュニティー創造から『やりがい』『生きがい』の再構築を促す『場』を宮城県石巻市、牡鹿半島等を中心に活動を展開していく事で、持続可能な地域で支え合う社会の復興を目指す。

事業を始めたきっかけ

今回、この事業を行いたいと思ったきっかけは、地域の住民さんの一人一人の声です。『一人でさびしい』『後は老人ホームに入るだけだから』『一人で誰からも必要とされていないから』とご高齢の独居の方や、仮設住宅で生活されている方がおっしゃっておられました。それは、震災前まであったコミュニティーや人との繋がり、仲の良かった友達との『お茶っこ』という居場所を、震災により壊されてしまったからという事と、元々の地域性が関係しているのではないかと思いました。
元々、牡鹿半島には介護保険内の施設は震災前からデイサービス一つです。病院も一つです。そして、震災後は介護保険外の方に対する介護予防事業は行われておりません。また、主な産業が漁業という事もあり、震災前からご高齢な方に対する地域の認識、家族の認識、ご高齢な方一人一人の認識として、仕事が終われば、役目が終わりという概念が長年の地域性を作り上げたように思えました。病院や施設が少ないのも、様々な理由があるとは思いますが、高齢化率が高い割にご高齢の方に対しての取り組みが遅れているとも考えられます。


この様な医療福祉過疎地帯を、住民による住民の為の意識改革をする事で、少しでも改善する事が出来、それが被災地の総合的な復興を後押し出来ると考えております。どこの医療過疎地でもある介護サービスに対する『身体が動かない人』や『頭がボケてしまった人』が受けるものという偏見的な考えもあり、積極的なサービス利用に繋がらないケースが多々あります。そのような現実が、地域医療や介護予防支援を実施している方がたの活動を妨げている可能性が有る事も解りました。
実現したい地域の状態としては、ご高齢の方でも、障害を抱えている方でも、その人らしい生きている意味を一人一人が見出して頂く事によって、その一人一人が新しい地域を創造していく社会を目指していきたいのです。

プロフィール

2011年5月に、宮城県石巻市へキャンナス東北にて短期ボランティアスタッフとして避難所にて活動を行わせて頂きました。2011年8月末でふれあい鶴見ホスピタルを退職、9月よりキャンナス東北の現地スタッフとして、現在までリハビリテーション担当、コーディネーター活動を行わせて頂いております。
短期ボランティアとして、初めて石巻へ来た時には衝撃を受けました。そこでは、80代のご高齢の方が畳一枚分での生活を余儀なくされている現状や、震災前は活発であった方が、寝たきりになっている現状を目の当たりにして、私に出来る事はないか。何かしなければいけないという気持ちにさせられました。また、短期ボランティア終了後、関わっていたご高齢の女性が転倒して骨折してしまったという情報がありました。この方のように生活不活発病や精神的に落ち込んでいる住民さんは多くいるが、医療や福祉の手が足りていない現状を見て、医療職として長期で活動する必要性を強く感じたのです。
現在は宮城県石巻市牡鹿半島、石巻市本庁地区の一部にて宮城県のリハビリテーション委託事業と、ボランティア活動の両立にて地域住民のニーズ調査、専門職の武器を生かしたご高齢の方や障害を抱えておられる方に対してのリハビリテーション支援の実施、地域介護サービスと住民の中間支援としての役割や啓蒙活動などが主な被災地支援活動内容となります。

【ひとことコメント】
『介護予防』からもっと前向きな『生きがい創造』という考えを石巻市牡鹿半島から発信していきます。
地域とは地域に住む一人一人の『声・行動・思い』が作り出します。
その地域と対話していき、御高齢の方や障がいを抱えた方、特に介護保険内既存サービスでは
補いきれない部分の自費サービスを展開していきます。日本全国に存在する山間部地域にて応用可能な、
地域で地域を支える生きがい創造モデルを目指して地域と共に、作り上げていきたいと思っております。