みちのく起業

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任意団体 WATALIS

引地  恵 /宮城県内
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引地 恵

事業概要

事業ビジョン

東日本大震災の被災地域において、着物地を再利用したてしごとによる商品を企画・販売し、長時間の就労が困難である高齢の女性や乳幼児を持つ母親などに対する就労支援を行うことで、地域経済活性化の一助とする。受け継がれてきた地域の文化や人々の思いを商品という形にし、様々な世代の女性たちがその製作者となることで、地域社会が潜在的に持つ高齢者の知恵や縫製技術などの人的パワーを掘り起こし次世代に受け継ぎながら、既存の枠組みを越えたあらたな地域コミュニティを創り持続発展させる事業。

製作者や地域住民を対象に、新たな人間関係の構築と地域コミュニティ創りを推進するためのてしごとワークショップなどの交流事業を実施しながら、新商品の開発を行い、国内外に向けた販売活動を展開していく。

 

事業を始めたきっかけ

事業ビジョン

学芸員として取り組んだテーマ展「着物~思いを纏う~」開催に向けた事前調査で、目には見えず日常生活に埋もれている"愛"や"感謝"の気持ちは、かつて着物という形となって世代を越えて受け継がれてきたことを知った。震災から半年が経過した2012年9月、地域に残された民俗資料収集の際に、ある旧家で「ふぐろ(袋)」に出会った。かつて亘理に暮らす人たちは、感謝の気持ちをあらわして相手に何かを手渡す時には、着物の残り布で仕立てておいた袋に入れていた。たとえばそれは農家の方が、よそへお土産やお返しとして用いた1升の米であったという。特に定まった呼称はなく、いまでも「ふくろ」がなまって「ふぐろ」を呼ばれている。ここにも地域に流れる"感謝"の気持ちに再び触れることができた。

着物も「ふぐろ」も時代の移り変わりの中でその必要性や存在価値は変化し、着物を仕立て着用したり、隣近所や親戚の間で「ふぐろ」を使ったやりとりをする機会は減っている。さらに震災によって生活の基盤が失われ、何よりも大切な地域の人と人との繋がりが絶たれてしまった。故郷に受け継がれてきた"愛"や"感謝"を、いまこの時代を生きる私たちが感じ、次の世代に伝えていくために、そして郷土に伝わるよき思いを新たな形の「モノ(商品)」として再び地域の中で蘇らせるために、守るべきことは何かを見極め大事にしながら、新たな地域コミュニティを"創ること"にチャレンジしていきたい。

プロフィール

宮城教育大学大学院教育学研究科卒。大日本印刷(株)を経て 亘理町教育委員会(亘理町立郷土資料館)に学芸員として勤務。2012年3月に退職。
小・中・高等学校教諭第1種免許状/学芸員/社会教育主事/図書館司書、学校図書館司書/全米NLP協会認定NLPプラクティショナー/・ヒプノセラピスト(NGH全米催眠士協会公式認定)

震災後は、亘理町職員として体育館内で救援物資の搬入・搬出などに携わる傍ら、任意団体Blessing代表として地域文化伝承講座の開設や宮城大学と連携した学習支援(稲盛財団東日本大震災復興ボランティア助成事業)、日本ヒプノセラピー協会主催のメンタルケアセミナー(独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業)の運営などのボランティア活動を実施。メンタルケアセミナーの運営は現在も継続。
2012年10月に任意団体WATALISを立ち上げ、てしごとプロジェクトの活動を実施。

【ひとことコメント】
地域の文化や伝統を大切にしながら新たなものを生み出し、商品という具体的でわかりやすい形にし、発信していくこと。それは私自身にとって、生まれてはじめての"創ること"へのチャレンジです。ふるさと亘理町で、よりよき未来をともにデザインしていくたくさんの仲間の思いを感じながら、このプロジェクトがたしかに人と人を繋ぎ、感謝の連鎖を生み出すものであることを、うれしい驚きと共に実感しています。