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特集記事 石巻で、イトナブと一緒に走っていきたい

私にとっての右腕体験6256viewsshares2014.02.27

石巻で、イトナブと一緒に走っていきたい

石巻の次世代を担う若者を対象に、ウェブデザインやソフトウェア開発を学ぶ為の拠点、「イトナブ石巻」。「イトナブ」とは「IT」+「営む」+「学ぶ」を合わせた造語だそうです。本日は、イトナブで去年の5月から右腕として働いている嶋脇さんにお話を伺いました。

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ーこちらに来る前はどのようなお仕事をされていたのですか?

某電気関係の会社の東北採用で、福島市にて3年ほど通信インフラの保守・設計の仕事をしていました。学生の時は、八戸の高専で5年間、電気情報を専門に学んでいました。

 

ー右腕に応募しようと思ったきっかけはどのようなことだったのですか?

震災があって、仕事でインフラの復旧業務の仕事に携わることになり、初めて仕事で“誰かを助けている”感覚を強く感じ、また同時に初めて自分の“死”を身近に感じました。自分もいつ死ぬかわからないと思った時に、今を大事に生きられていない気がして。「この会社だったら安定できるな」と思っていましたが、先って本当にわからないな、と思ったのがきっかけでした。

 

ー少し振り返って、3年間働いているときには、どのあたりにやりがいを感じていましたか?

正直、趣味でやっていたダンスをできる環境であれば何でもいいかな、と思っていました(笑) ただ、その仕事をしているときの自分は、無理をしているというか、心がすり減っていた気がします。そんな気持ちが溜まっていた所で震災が起こり、気持ちがあふれ出たというか・・。もっとちゃんと自分が興味のあることをやっていかないとだめだな、と。

 

ーそして、インフラの復旧の仕事をしているときに、もっと人の役に立つ仕事があるのだな、という感覚を持った。

そうですね。前の仕事は機械と接していることが多く、「その先を想像して」とは言われますが、なかなか人の役に立っている感覚を感じにくかった。復旧活動に関わり、直接助けて「ありがとう」と言ってもらえて、今までで一番嬉しくて。僕の欲しい「ありがとう」はこっちだな、と思いました。もっと人と近いところに行きたい、と。

 

ー右腕に応募するときに、イトナブを選んだ理由は?

実は最初はIshinomaki2.0に応募していました(笑)。それまでの自分は、親の安定を望む意図をくみ取って、いい子になろう、誰にも迷惑かけないようにしよう・・そんな風に生きてきていたんです。それを、一旦リセットして、自分の興味に正直に生きていきたいと思って。そこで、次に何をやるか、と考えたとき、何かが特定されているのではなく、いろいろな種類・カテゴリの仕事ある場所がいいなと思って。

 

ーそれでIshinomaki2.0に。

そうです。Isinomaki2.0って、バーだったりラジオだったり、本当に色々なことをやっているじゃないですか。ここだったら色々な自分を発掘して、伸ばしていけそうだなと思って応募したのですが、その時にコーディネーターの方から、イトナブ石巻というのがある、と。

 

ー前の経歴とか、高専出身といった経歴などを見て?

そうですね。教育とか興味ある?と聞かれた時に、塾のバイトとかをしていたこともあり、それも楽しかったが覚えがあるので、「あ、やってみようかな、行ってみようかな」みたいな感じで決めました。

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ー実際にイトナブではどういうことを?

基本的にはここのスペースの維持管理です。あとは、表現することが好きなので、写真とか文章とか動画とか、メディアを使った情報発信をして、イトナブの情報や、どういうことをしているかをみんなに知ってもらう、広報活動をしています。イトナブのブログやHPも全部自分たちで作っていますし、イベントの企画運営もしています。

 

ー“自分の興味に正直に生きていきたい”との事でしたが、今はどのような気持ちですか?

最初は、「イトナブで自分がどういうことできるのかな?」と思っていました。アプリなどの開発を自分自身は教えられないですし(笑)。でもそれでよかったんです。ここは、どんどんいろいろな人が集まってくるという、つないでいく、“場”でしかない。そこで、自分は文章だったり写真だったり、“表現”という技術を磨くことで、“自分を活かしている”という感覚があります。そのことによって、誰かが喜んでくれたり、イトナブの情報がいろいろな人に広がっていく。それは、以前は、羽をも動かせない鳥かごの中にいてもがいていた鳥が、「ばーー!!」っと飛び出してきているような、そんな感じです。

 

ー嬉しいですね。

はい、すごく嬉しくて。「記事に感動した」とか、「心打たれた」とか言ってくださる方がいるので、ある意味、自分の存在意義そのもののような、そんな感じです。

 

ー Ishinomaki2.0に応募して、結果イトナブに来ることになりましたが、いかがでしたか。

代表(古山さん)が、「好きなことやれ!」といった感じで押さえつけないんです、一切。だから学生はのびのび自分のやりたいことを学んでいるし、自分もこの雰囲気だからやれていると思います。ロメオパラディッソ(※)に参加するかも迷っていたんです。もともとの勤務地である福島の為、しかも自分が得意とする表現で助けになることができる、まさに自分にピッタリの機会だと思いましたが、イトナブでもまさに新しい仕事が始まろうとしていて。ここで自分が福島に行ってしまうのは、諸々裏切ることになってしまうのかと思って。代表に相談したら、「ここ(イトナブ)は若者がチャレンジできる場所なのに、スタッフがチャレンジできないでどうするんだ、行って来い!」と言ってくれて。「あ~俺もう、ここならいいな!」と思いました。もちろん仕事内容の面でも満足しています。

 

ー右腕として半年以上たってみて、苦しいこと、つらいことは何でしょうか。

生活、仕事との境目がグレーなところのコントロールが最初は難しかったですね。会社勤めのように枠が決められていないので、自分でオンオフをしっかりつけないと、常に、エネルギーを漏電している感じで。休みなど、きちんとマネジメントしてあげないと体がやられちゃう。最初はそれが大変だったし疲れました。だんだんと慣れてきましたが。

 

ーオンオフの切り替え、休息、それはどのようにしているのですか??

一人になりたくなったときは自分でちゃんと一人の時間をとるようにしています。要は自分と向き合うことなのですけども。

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ー右腕残り3か月、またその先はどのように過ごそうと思っていますか?

今関わっている広報などメディアをもっと磨いていきたいですね、そして、この活動が短期的に終わっては意味がないので、ここを続けていくためにも、もっと自分で仕事を動かせるようになって、自分の足で立って、イトナブと“一緒に”走っていきたいと思っています。自分は何故ここにいるのか、どういうことをしたいのか、常にそれを考えながら、でも足を止めずに動きながら、イトナブが学生たちや若者たちの学ぶ場であり、刺激的な場であり続けられるようにしたいと思います。

 

ー具体的な活動のイメージなどありますでしょうか?

代表の古山のように、いろいろな人をつないではイベントを開くなど、オープンイノベーションのような形でプロジェクトを創っていく、ディレクターの様な仕事をどんどん学びながらしていきたいと思っています。

 

ー楽しみですね。そういったことは、どうやって学んでいけるものなのでしょうね?

古山のやっていることを日々盗む!「ああ、こうやって巻き込んでいるのだな」、とか。やっぱり今ここにきて、「人だな」とすごく感じています。

 

ー人というのは・・

彼の人の巻き込み方を見ていると、「彼自身が本気」ということだと思うんです。本気で変えようとしているし、「こういう旗を俺は立てる、“ドン”!」みたいな意思表示がある。「ついて来い、とりあえず。」「絶対俺が石巻を変えてやる、ITで」と、断言するというわけではないのですが・・、そこにやっぱり人が惹きつけられていると感じます。

巻き込むとかセンセーションとか、こういうことなのだな、と。本気になること、夢中になることのパワーをここに来て学べました。日々盗もうと必死です。

 

ーいろいろ大変なこともあると思いますが、イトナブの右腕になってみてどうでしょうか。

代表の古山と働けている、ということが一番です。すごく刺激的ですし、いろいろな世界を見せてくれますし。それは僕だけではなくて若者たちにも一緒で、「イトナブができて石巻が楽しくなった」とか、「面白い人代表」みたいな感じでここに存在しているのを見ると、やっぱりすごい人を惹きつけているなと感じます。

 

ー最後に右腕になろうとしている人へのメッセージがあれば

今年は、自分にとってはリセットして、学びの年でした。右腕は自分、というか今の世の中にとってすごいいい制度だと思います。今までの経験で「こうかな?」って自分の頭の中で色々考えたり、言葉が浮かんだりしてくるとは思いますが、最終的に心が少しでも興味を持ったり、やりたいと思ったら「GO」ですね。心だけには嘘をついてはいけないと思います。あとはもう飛び込むだけだと思います。

 

ー今の嶋脇さん、水を得た魚のように見えますね

 「これやりませんか?」と言うと実現していく感覚が楽しい。変化を生み出している感覚が楽しいです。その変化に携われている感覚、自分がいることで何かが変わっている感覚。小さい団体だからこそそういうことってできると思います。普通の会社とスピード感が違います。そのスピード感が僕の心のリズムに合っている気がします。「はい。これやろう、ドン!」みたいな(笑)

 

※ロメオパラディッソ:http://func.tv/ 嶋脇さんはACTOR兼DANCERとして活躍しています。

嶋脇さん、お忙しいところインタビューにお答えいただきありがとうございました。今後のますますのご活躍とイトナブから羽ばたく色々な可能性、楽しみにしております!同日、代表の古山さんとイトナブで学び始めて今はイトナブの理事となっている学生さんにもお話を伺えましたので、続編として、後日公開させて頂きます。嶋脇さんとはまた違った視点からのお二人のお話、非常に興味深く聞かせて頂きました。どうぞお楽しみに!

 

聞き手・文:土屋香奈子(石巻医療圏 健康・生活復興協議会 元右腕/現在も石巻で活動中)

 

 

 

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