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特集記事 「日本に寄付したい」想いをつなぐ、カタリバの外交官。

私にとっての右腕体験6164viewsshares2011.12.14

「日本に寄付したい」想いをつなぐ、カタリバの外交官。

海外では、「日本に寄付したい。だけどどこに寄付すれば良いか分からない」という個人・団体が多いそうです。一方、NPOカタリバは東京を拠点に高校生のキャリア学習支援を、宮城県を拠点にコラボレーションスクール「女川向学館」をと、それぞれユニークな活動を行っています。海外とカタリバを結ぶ右腕として働く高山リサさんに、その役目についてお話を伺いました。【「コラボ・スクール」向学館プロジェクト(女川・大槌町)・高山リサ】

 

 

-最初に、なぜこのプロジェクトに右腕として参加したのか聞かせてください。

フィリピンのマニラに13年間住み、そのあと去年の年末から半年くらい地元福岡で友人の選挙を手伝っていました。それが一段落して、「フィリピンに行く前は東京に住んでいたし、また東京に住むのも良いかなあ」と思い始めまして。その時に「こういう右腕のお仕事があるけれどどう?」という話を知り合いづてにいただいたんです。もともと震災に関わる仕事をしたいと思っていたし、カタリバのことも「ワークショップを事業にしている面白い団体だなあ」とずっと知ってはいたので、それらが上手くマッチしたという感じですね。

-マニラに13年いた時は、何をされていたのですか。

演劇ワークショップという、即興演劇を社会的な問題とも絡めたりする活動をしている人たちがけっこう海外にいて。フィリピンには「フィリピン教育演劇協会(PETA)」というその手の老舗の劇団があるんですけど、そちらにインターンに行き、そのあとは現地で日本のNGOのマニラ駐在員などを経て、国際協力関係でJICA(国際協力機構)や日本大使館でNGOと政府機関の連携に関わったりしていました。あとは、通訳・翻訳、テレビや演劇・映画のコーディネートなどをしていましたね。

-日本で生まれ日本で働いてきた他の方たちとは、違う着眼点を持っていらっしゃいそうですね。

代表の今村さんにも「ぜひ、そういう風に違った視点で気づいたことを教えてください」と言われていて。フィリピンに行く前にもピースボートや通訳の仕事で色々な国に行ったりしていたので。海外に長期間いると客観的に日本が見えてくる、というのは、やっぱりあります。

-NPOカタリバの中にいて、何か客観的に見えたものや感じたことはありますか。

ひとつ思うのは、本当にイノベーティブで素晴らしいことをしている団体だということ。そして、そのすごさに本人達が気づいていない部分があるのかな、ということ。世界に出しても絶対恥ずかしくないぐらいのユニークさだったり、高校生のモチベーションを上げて人生を変えていく作用だったり、カタリバの事業はそういうものを持っていると感じます。海外から資金を集めてくるだけではなくて、それをちゃんと伝えたいですね。

-リーダーである今村久美さんは、どんな方ですか。

ユニークで勢いがあり、突破力がある人だなあ、と思います。私は割と参謀タイプの人間なので、トップに立つと妙に責任を感じて緊張してしまって。2番手あたりでチームでやるのが好きなんですよね。そういう意味で、この人とだったら面白い関わりになりそうだな、いい組み合わせかもしれないな、と思いました。

-それはすてきですね。毎日、1日の仕事の流れはどのような感じなのですか。

私は主にこの事務所にいますが、時折東北へ出張に行ったりもします。東京では、メールで海外の色んな財団や情報をアップしているアメリカの寄付サイトと連絡を取ったりしていますね。あと、今はまだ、カタリバの英文の資料というのがほとんど無いので、団体の紹介とか、女川向学館のプロジェクトについて英文化していくということをやっています。英語版のホームページ制作も進めています。

 

 

-実際にやっていて、どんなところにやりがいを感じますか。

海外でもたくさんの方が今回の日本の震災に心を痛めて、何かしたいと思っていて、それを寄付やチャリティーイベントなどの形で集めるという動きがあります。そして、集めたお金を「さあどうしよう」って思っている方がいっぱいいるんですね。それは、個人から財団・機関まで。規模は小さくても、できれば直接現場で動いている人達に渡したいという方々もいる。支持したいプロジェクトがあれば、どんどん出したいと思っている人は潜在的に多いです。もちろん、震災関連で動いている日本の人たちもファンドは必要なわけで、そこをうまく繋げられそうな手応えを感じる時は、やりがいがありますね。

-海外と日本をつなげていく。外交官みたいですね。

フィリピンにいたときから、日本のNGO同士のネットワーキングとか、フィリピンのNGOと日本のNGOの繋ぎ役をやっていたんです。そこでは言葉の壁もあって情報発信が足りなくて、「実はすごく良いことを皆やっているのに、もったいないなあ」と感じていました。日々の業務もある中で、翻訳や情報発信まで誰がやるのかというジレンマを抱えていましたね。今回、折よくそういうことを担当できるポストを頂いたので、更に言えば、それをまたフィリピンにも戻してノウハウを共有していけたらなあと思います。

-情報発信していく上で、難しい事などはありますか。

そうですね。単に日本語の直訳では通じないことでしょうか。無意識のうちに日本的な表現ってあるんですよね。日本語で読むと違和感は無いし、すごくモチベーションが上がる良い文なのに、それを英語にそのまま訳しても、英語圏の人にはピンと来ないこともある。「これは直訳したら英語圏の人にはわかりづらいんだろうな」というのはわかるんですけど、「じゃあ具体的にどういう形で発信したら英語圏の人にピンとくるのか」というのは、私はネイティブスピーカーの人たちほど実感ではわからないので、そこをどうしていくかですね。ネイティブの友人に意見をもらったりしようと思っています。

-右腕としての期間は2年間とのことで、まだ1年半以上このプロジェクトに関わっていくと思うのですけど、その中でなにかやりたいことはありますか。

ストレートですけど、出来るだけ多くのお金を集めて、被災地に役立てたいですね。あと、カタリバ本体も非常にユニークな事業をやっていると思うので、そこを上手く海外に向けて発信していけたらなあと思います。現地の方や社会起業家の方達が、「これは、全く新しいノベーションをするチャンスだ」「これを使って震災前より良い社会を生み出すことが自分たちの義務だと思う、それをしないと亡くなった方達に顔が立てられない」と言っていて。それはすごく印象的でした。なので、そういう心意気でやりたい。ただ1+1=2というよりも、かけ算だったりするのかなあと。日本が大きく変わっていく転機だと思うので、それに何らかの形で貢献出来ていけたらなあと思います。

-そうですね。それぞれの立場で協力しながら、とりくんでいきたい。

右腕だったり、いろいろな形で震災関係に関わっている人達の横の繋がりが大事だと思っています。ETIC.も合宿とか研修の機会を設けてくださっていますね。これはフィリピンでも思っていたことなんですけれど、特に現場に入って活動する人は、集まって話してみると、悩みだったり、ぶち当たる壁だったり、似たようなものがあったりするんですよね。そこらへんを一緒に考えていける場をつくっていきたいです。

-自分の能力が足りないんじゃないかと思ったりで、関わりたくてもためらってしまう人もいそうですが、その方たちに向けて伝えたいことなどはありますか。

スキルとか経験は現場に行って、「ああ足りない」と思うこともあるでしょうけれど、別に誰も完璧じゃないので、やってみたらいい、怖がらなくていいと思います。役に立ちたいという気持ちがあって、それが押しつけではなくて、関係者や現地の人に何が本当に必要なのかを聞きながら、謙虚にやっていく姿勢があれば。能力の足りなさなんて、全然カバーできると思いますよ。能力ってそうやって伸ばしていくものだと思うので、飛び込んでみたらいいと思います。

-今後、岩手県大槌町でも向学館を立ち上げていきますよね。ぜひ、すてきな仲間が飛び込んでくれるといいなと思います。お話し、ありがとうございました。

 

■右腕募集情報:「コラボ・スクール」向学館プロジェクト(女川・大槌町)

■関連インタビュー:この地に本当に必要なリズム。女川向学館の考え方。

コラボ・スクール公式サイト

 

 

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